まくり差し
まくり差しとは、外側のコースの艇が1マークで自分より外の艇を「まくり」(外から追い抜き)つつ、同時に自分より内側で膨らんだ艇を「差す」(内側を突く)ことで前に出る決まり手である。主に3〜5コースの艇が使う。まくりの速さと差しの精度を同時に求められるため技術的な難度は高く、決まったときは複数の艇を一度に抜き去る鮮やかな展開になる。
まくり差しが生まれる典型的な形は、2コースの艇が1コースに対して外から仕掛けて1コースと2コースが揃って外に流れ、その内側にできた空間へ3コースの艇が入り込むというものである。1コースの艇が1着になるとほぼ「逃げ」、2コースからの1着は「差し」または「まくり」になるため、まくり差しは事実上3コース以降の艇の決まり手といえる。決まり手の記録上は、外の艇をまくった要素と内の艇を差した要素を併せ持つ場合に「まくり差し」とされる。
予想への活かし方
まくり差しを狙える選手かどうかは、艇ナビの選手詳細・コース別成績で3〜5コースからの1着率を見ると分かる。場については、場詳細ページの決まり手マトリクスで3コース・4コースの艇がどの決まり手で勝っているかを確認できる。艇ナビ集計(直近12か月)で1コース1着率が低い場(戸田41.1%・平和島44.0%・江戸川46.7%)は1コースと2コースが競り合って流れる場面が多く、センターの艇にまくり差しのチャンスが生まれやすい。逆に1コース1着率が60%を超える下関・徳山・尼崎・芦屋・大村では、まくり差しの前提となる「内側の膨らみ」が起きにくい。レース単位では、出走表で3・4号艇の全国勝率と平均STが上位、直前情報で展示タイムも良好であれば、まくり差しでの1着を候補に入れられる。
注意点・よくある誤解
まくり差しは「まくり」より内側を通るため、内の艇のターンがきれいに決まっていれば入る隙間がない。つまり内側2艇の出来に依存する受け身の要素があり、選手の技量だけで決められる決まり手ではない。また、まくり差しが決まったレースでは1コースの艇が2着に残ることも多く、必ずしも1号艇が舟券圏外になるわけではない。「センターの艇が1着なら大荒れ」とは限らず、「3-1-2」のような組み合わせは中穴程度に収まることもある。決まり手の名称は結果を後から分類したものであり、レース前に決まり手そのものを予測するよりも、各コースの艇が1マークで前に出られる根拠(ST・機力・場の傾向)を積み上げるほうが現実的である。